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              文字講義2 
  次は民法第5章の法律行為についてです。民法には5章法律行為とあるのみです。有斐閣の法律学小辞典に法律行為とは「一定の法律効果の発生を欲する者に対してその欲するとうりの法律効果生じさせるための仕組みないし法制度。私的自治の原則が技術的な形をとったものである。私的自治の原則が支配する私法の領域では、権利義務関係の設定・変動は究極的には、それを欲した 当事者の意思に求められる。」とあります。
 また柴田孝之先生の民法入門1には、「法律行為は、意思(内心)どうりの法律効果の発生つまり権利や義務を希望したとおりに生じさせてくれるもののことです。この結果自分たちの意思を実現することを裁判所が認めてくれて、強制執行ということで手を貸してくれるものが法律行為であるということになります。」とあります。つまり法律行為は、権利実現に裁判所が手を貸してくれることを前提にしています。
 例えば徳島市に住むAが徳島市に住むBに対して1000万円お金を貸したが、Bが返済期日が過ぎてもお金を返してくれないときは、Aとしては、民法414条にあるとうり、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に従い、直接強制、代替執行、間接強制その他の方法による履行の強制を裁判所に請求することができるということです。請求するかしないかはAの自由です(
私的自治)。このあたりは、手続法に関することであり宅建試験にあまり関係なさそうですが、時効の更新と完成猶予をマスタ―するのに不可欠な知識となりますので簡単に触れておきます。上のAとBの事例にそって説明します。なおBは家と土地(不動産)を所有していることが、登記簿上明らかであるとします。
Aは、1000万円の貸金返還請求訴訟を徳島地方裁判所に提起することにしました(裁判上の請求)。 ところでAとしては裁判に勝訴しても、判決が確定するまでにBに家と土地を第三者に譲渡され、差押(強制執行)ができなくなれば、訴訟をする意味がなくなります。 そこで家と土地を仮差押えをして将来の差押財産を保全するすることになります。   Bに不動産以外に財産があれば、(例えば銀行預金)仮差押えすることができます。もちろん仮差押えをするかしないかは、Aの自由です(
私的自治)。
Aが裁判に勝訴し判決が確定しても、Bが支払ってくれない場合、判決正本に執行文を付与してもらい不動産に強制執行(強制競売)することになります。不動産以外に財産があれば、(例えば銀行預金債権)を差し押さえることも、同時に不動産と銀行預金を差し押さえることも可能です。もちろん差押さえないこともできます(
私的自治)。
 不動産が差押えられると、鑑定評価され最低競売価格が決まり、競売に付されます。競売期日に最高値を付けた人が競落人(買受人)となります。Aは競売代金より配当を受け満足を得ることになります。
  以上が法制度(強制執行)の例です。
広義の法律行為概念は、国家の助力を前提としており、私的自治の原則を具体化し権利の内容を国家権力の助力を得て実現するものです。
自力救済が禁止された代わりにこのような権利実現の制度が用意されています。
以上を時系列でまとめておきます。 
広義の法律行為 
1、金銭消費貸借契約の成立 ←意思表示の合致と金銭の受け渡し(法律要件)
​2、貸金返還請求権の発生(法律効果)
3、返済期日に返済されない→債務不履行 →4、へ
返済期日に返済 →債権債務消滅→
END
4、仮差押え→執行財産の保全民事保全法
5、貸金返還請求本訴提起民事訴訟法   
6、判決:判決確定権利確定民事訴訟法   

7、差押え→強制執行民事執行法            
8、競売:競落→債権者満足→
END
 民事執行法
詳しくは、時効のところでやりますが、6・7・8は時効の更新事由 4・5時効の完成猶予です。理由付けを考えてみてください。また4.5.6.7.8は裁判所がらみの法手続によるものであり、自力救済が禁じられた裏返しです。

 
工 事 中
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