ここ数年の宅建試験の権利関係の民法の問題は難化しています。私は難化すると予想してました。この傾向はしばらく続くと思われます。試験に携わる人なら予想されたはずです。理由は当然のことながら、大改正された民法が施行されたからです。
　前回の試験で残念な​結果となった方は、民法の勉強を早めに開始しておくべきです。問題はどのように改正民法を勉強するかです。
　宅建試験の基本テキストには、宅建試験の民法にはそこまでは必要なしと考えてか法条文の記載がないもの、難解と思われる法律用語は説明をはぶいているものが多いように思われます。受験生のことを考えわかりやすく、効率よく（深入りせず）学習してもらうためと思われます。
　しかし、ある程度深入りしたほうが民法はマスターしやすいですし、挫折することが少ないです。問題演習を主にした理解学習・理由付け学習をすることで、記憶の定着度と記憶の復帰スピードに差が出てきます。何よりも学習が苦でなくなります。
　長年資格試験の指導をされておられる、柴田孝之先生のS式柴田の「生講義民法入門1」に勉強のヒントとして次のような記述があります。参考のため以下のとうり一部引用させていただきました。
（略）やはり、わかりやすく試験に役立つような民法を学ぼうというのは難しいです。さらに、本を読んでもなかなか問題を解けるようにはなりません。というよりも単に本を読んだり講義を聴いているだけでは「ああ、そうですか」という印象しか受けませんよね。
　やっぱり説明を聞いて得した気がするのは、わからないことがわかったときです。それも、単にわかるだけでなく、試験で出題されそうなことの意味がわかるのが、一番得した気になるんじゃないでしょうか。
　だから、興味を持って試験勉強するには試験問題を早く解き始めることですね。「わからないな」と悩んだ後で説明を聞いた方がずっと吸収し、勉強するモチベーションを高めることができると思うんです。
​（略）問題を解き始めての方が、賢く講義を聴いたり本を読んだりできるんです。
　だから、本格的に本を読むのは問題をある程度検討した後です。問題を解きながら覚えてきたことをまとめ直すとか、確認するとか、もっと理解を深めるために読むべきです。
​（略）本を読むことから勉強を始めるというのは、やっぱり勉強の順序としてはおかしいんじゃないかと思います。

　宅建試験において、民法は避けて通ることはできません。問題演習中心の効率の良い学習を行いましょう。
　私の講義・演習の進め方は、皆様に問題を問いてもらい疑問点をその都度（即答できない時はできるだけ速やかに）解消していただくために解説を行うのが主です。解説の際は、私の力の範囲で少しばかり深入りすることがあります。理解を深めてもらえること、記憶の定着に繋がること、学習に興味をもってもらうことができるからです。